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「さとちゃんちのサンタさん」

1994年頃 小笠原さんにこのレポートを送る
1999.12.5 ホームページ版

 今年もクリスマスの季節となって参りました。この季節の定番の授業は,小笠原智さんの紙芝居「さとちゃんちのサンタさん」を使った授業です。この紙芝居は『たのしい授業』92年12月号にも載ったほか,野戸谷睦さんと小笠原さんのホームページ「たのどこしんぶん」でも公開されています。(左の絵はそこから転載させていただきました。)

 ボクと小笠原さんは同じ年齢なので,この小笠原さんの子どもの頃の思い出を描いた紙芝居には,とても共感できます。

 さて,授業では,紙芝居を読んで,「みなさんのサンタクロースとクリスマスプレゼントの思い出を書いてください」と高校生の生徒さんたちに書いてもらうものです。高校生ぐらいになってくると,もうほとんど親との関わりは薄くなってしまいます。でも,あのたのしかったクリスマスの思い出は,胸の中に残っているのです。そして,それを思い出せば,また心の灯火が暖かくともるではありませんか。クラスがほんわかとしたとってもいい雰囲気になるのです。そして,それと同時に,「親としてクリスマスをどうするか」ということを深く考えさせてくれます。


■授業の様子

ボク 「みなさん,クリスマスって何日のこと?」
みなさん 「24日」「25だぞ」「えっ?!」
ボク 「24日と間違う人が多いそうなんだけど,25日ですね。だから,クリスマスプレゼントをもらうのは,いつ?」
みなさん 「25日!」
ボク 「そうですね。25日がクリスマスだから,サンタさんが24日の夜に配って歩いて,25日の朝に枕元にあるのが,クリスマスプレゼントなんですね。みなさんは,どんなプレゼントをもらったことがあるかな。」
みなさん 「ファミコン!」「最近もらわないなー」
ボク 「あの〈ゲンシマン〉のオガさんが,またお話を作ってくれました。ちょっと付き合ってくださいね。実話らしいんだけど・・。」
 (紙芝居を読む。「朝,目が覚めるところ」まで。)
ボク 「オガさんは,ボクと同じ年なんです。だから,昔のあの雰囲気,ボクには良くわかるなぁ。このレーシングカーっての高かったんだよね。そして,ボクも,〈お金持ちの家には,大きな煙突があっていいなぁ〉と思っていました。さて,さとちゃんは,何をもらったでしょうか。」
みなさん 「レーシングカー!」(みなさん,声をそろえて)
ボク 「どうかな?じゃ,続きを読みます。」
 (読む)
みなさん 「ふーん」
ボク 「どうでした。紙を配りますから,みなさんのクリスマスプレゼントの思い出を教えてください。」
 (「あなたは,クリスマスプレゼントに,何をどのようにもらいましたか。サンタさんをいつまで信じていましたか。」と板書。)
ボク 「ついでに,オガさんへ感想を一言書いてあげてください。」


 みなさんが書いてくれている間,ボクは,自分の思い出や,アメリカでのクリスマスプレゼントの話,サンタの話などをします。そして,書けた人の文章をどんどん読んでいきます。笑いと,ほんわかした雰囲気で1時間が終わりまし
た。

 さて,板倉聖宣先生も『たのしい授業』で「サンタのプレゼント」の話(たしか「だます」の特集の時かなぁ・・・)を書いておられました(クリスマスプレゼントは「サンタからのプレゼント」ということでプレゼントを押しつけることができる)が,高校生のみなさんのサンタの思い出は,もうとても傑作です。すでに親の人,これから親になる人,必読です。

■親に夢を壊された人たち
 小学校四年生の時に「クリスマスプレゼントにおもちゃのミシンがほしい」と思っていたら,親におもちゃ屋につれていかれて,その場で買って渡されてしまった。そのとき,何という親だと思った。       幸子さん

 小学校三年生まで信じていました。25日の朝,起きてみたら欲しかった童話の本が枕元に・・。ところが次の日,いとこの人に真実を教えてもらい,私のサンタを信じていた思いは,無残にも消え去ってしまいました。                       みえさん

 サンタさんを信じていたころ,押し入れを開けたら,プレゼントが隠してあるのを見つけてショックでした。                                              恵美さん

 プレゼントはいろいろもらったけど,それは全部上山さん(おもちゃ屋のおじさん)が車でサンタのかっこうをして持ってきてくれたものだった。せめて,夜こっそり枕元において欲しかった。    よりえさん

 枕元にプレゼントがあった。でも,値札がついていた。
 毎年「今年はサンタさんに何もらうの?」と親に聞かれていた。ある年,「親にいわなくても,サンタさんにはきっと通じる」と思って,親には何もいわなかったら,本しかもらえなかった。それで夢は崩れた。  あゆみさん

 朝起きたらプレゼントがなかったので,「サンタさんこなかったの」と聞いたら,「忘れていた」といってプレゼントを親が持ってきた。この時僕の夢は音をたてて崩れていきました。幼少のころの悲しい悲しい思い出です。 散田君

 昔,サンタさんを信じていたけど,サンタさんの格好をした上山商店のおじさんが「メリークリスマス」といって,玄関の戸を開けたときから,サンタさんを信じなくなった。               西尾君

 クリスマスの夜,車の音が聞こえてきた。かあさんが「サンタがきたよ,早く部屋に入りなさい」といった。僕は,車の音だと分かっていたから,部屋からこっそり出て外を見ると,プレゼントを渡され,金を払っているかあさんを見て,くやしい思いをした。 散田山君

 小学校2〜4年ぐらいの時,必死で夜中ずっと起きていた。そして,親がプレゼントをおいていたのを知ってしまったのであった。                    みえさん

 小学校までバッチリ信じていたのに,中学校になったら,親に「もうサンタは信じていないよね」といわれて,ショックのあまり言葉が出なかった。       みかさん

 クリスマスの夜のプレゼントに,Aコープのシールがついたお菓子詰め合わせをもらったとき,サンタを信じなくなった。                             高橋君

■親の夢を壊した??
 僕は小学校三年生までサンタクロースを信じていました。そのイブの夜,僕が寝ているとき,戸の開く音がしておかあさんが入ってきて,プレゼントを枕元においていった。そのときは,寝たふりをしていたが,次の日の朝,「おかあさん,プレゼントありがとう」というと,おかあさんはなにもいわず,次の年からプレゼントはこなくなった。 散田山君

■よくやったなぁ
 幼稚園の時,お菓子の入っている「赤い靴」からお菓子を出して,その靴をはいて走り回って遊びました。            ゆきこさん

 赤い靴に入っているおやつを買ってもらい,靴の中に足を入れて,家の中を走り回りました。     長井君

■友達から馬鹿にされ
 僕は小学校の三年生までサンタを信じていた。クリスマスの日,学校でサンタの話をしたら,みんなに馬鹿にされた。どうしてみんなは僕の夢を壊すんだと思っていた。 竜一郎君

 小学校二年生ぐらいまでサンタさんはいると信じていたけど,ある先輩に「サンタは絶対にいない」といわれて,ケンカになったことがある。                             まりよさん

 小学校四年ぐらいの時,友達に「まさか,りかちゃん,サンタなんて信じていないよね」といわれて,初めて気がついた。少し恥ずかしかった。                             りかさん

 サンタさんを信じていたけど,友達が「サンタはおとうさんがやっているんだよ」といわれて,夢ははかなく消えた。 けいこさん


■寝苦しい夜
 長さ1メートルのチョコレートが胸の上に置いてあった。  山沢君

 小学校三年生ぐらいの時,朝方なんか寝苦しいと思って目を開けると,おなかの上に大きな豚の縫いぐるみが置いてあった。なんだかわからないけど,ショックだった。 しずさん

 夜遅くまで起きていてテレビを見ていた。外で鈴の音が聞こえたので,あわてて布団に入って寝た。次の日起きたら,プレゼントはなかった。 西尾君

 僕は,消防車が「凍結に注意してください」と知らせて回るカランカランという音が,サンタの鈴の音だと思っていた。 中村君

■煙突
 煙突が細くてサンタさんが入ってこれそうにないので,窓を全開にして寝たことがあります。次の日,枕元にプレゼントがあって,窓がしまっていたので,「サンタさんがきたんだ!」と思ったのですが,なぜ内側から鍵がかかっていたのかは,永遠のなぞです。 じゅんこさん

■現実的なサンタ
 子どものころは,手袋とかコップとかが置いてあった。けど今は,お金。 かなこさん

■サンタと手紙
 小学校五年生の時に,プレゼントにサンタさんからの手紙が入っていて,「来年で最後だよ」と書いてあった。サンタさんがいると信じていたけど,どうやらサンタさんは,自分の親だったようだ。 さゆりさん

 小学校一年ぐらいの時に,サンタに手紙を書いたのに,次の日の朝,その手紙は,ゴミ箱に捨ててあって,すごくショックだった。親は,「サンタが捨てたんだよ」といっていたが,そのとき,サンタがいないということを知った。                            ななみさん

■サンタの電話番号
 僕の叔母が,サンタの電話番号を知っているということだったので,母はいつも「叔母に欲しいものをいいなさい」といっていた。僕は,チラシを見て,頼んでいた。 吉夫君

■高校生でも夢が欲しい
 ちいさいときは,必ず枕元にプレゼントがおいてあったよ。でも,今は「〜がほしい」といったら,目の前で買ってくれるから,夢がないよ。                         ゆきさん

■サンタは,いる
 私は,小学生のころ,フィンランドのサンタさんに手紙を出したことがあります。そんで,返事がきました。ちゃんと英語だったけど,汚ない字だった。全然内容はわからなかったけど,サンタはやっぱりこの世に存在しているのだろうか。 こずえさん

 私は,小学校4年生まで,本気でサンタさんの存在を信じていました。絶対いると思ったんだけどなぁ。朝起きたら,枕元にプレゼントがあって,すーんごく不思議な気分でした。夢見るかわいい乙女だった・・。 さちこさん


 どうです?親として注意すべき事がよくわかりますよね。ボクは,「サンタさんのことは,ずっとだましたままの方がいいな」 と思ってしまいます。この話を生徒さんにしているときも,生徒さんも,そう思っていたみたい。クリスマス前の「父母懇談会」なんかで話題にすると良いかもね。

 去年のクリスマス,2才のボンズの枕元にプレゼントを置きました。ボンズは「サンタさん!」ととても喜んでいました。今年はかくしておいたプレゼントをボンズに見つかってしまい,また違うのを用意しなくてはならなくなりました。さて,いつまでだましていられるか・・・。できれば,ずっと・・・。


 小笠原さん,すてきな話をありがとうございました。

 (生徒さんたちの名前は仮名です。ただし「よりえさん」は,研究会会員かぬかよりえさん本人です。)



 


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