『絵とき世界の国旗』特設ページ

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更新状況

2000.11.29

アンドラ国旗変更

2000.11.16

イスラム教徒の割合」への疑問

2000.11.2

インド国旗の意味

2000.9.16

シドニー五輪開会式で見た国旗からコメントを追記。残念ながら,すべての国旗について確認はできなかった。

2000.8.22

「は行」以降を追加。

2000.8.21

「た行」「な行」を追加。

2000.8.20

「さ行」を追加。

2000.8.19

「か行」の気になるものを追加しました。外務省のホームページも参考にしましたが,データも古く,あまりあてにならないみたいです。

2000.8.18

『絵とき世界の国旗』「あ行」の国旗で気になるものを取り上げました。

■文献一覧

インターネット

World Flag Database  http://www.flags.net/

国旗データは「The Flag Institute」からのもので,『FLAGS OF THE WORLD』(Dorling Kindersley)と基本的に同じだが,月毎で更新されている。以下「WFD」と略記。
Flags of all the States  http://www.ace.unsw.edu.au/fotw/flags/iso3166.html

国旗の研究者達によって,日々その成果が書き込まれてゆくサイト。略称「FOTW」
外務省 「世界の国一覧」

http://www.mofa.go.jp/mofaj/world/ichiran/index.html

書籍

辻原康夫 『世界の国旗全図鑑』 小学館 98.1

『全図鑑』と略記。
『FLAGS OF THE WORLD』(Dorling Kindersley) 1999

『FLAGS』と略記。
W.スミス 『世界旗章大図鑑』 平凡社 1977
吹浦忠正 『学習漫画 世界の国旗事典』 集英社 1990.11



■授業書『世界の国旗』から変わった国旗,ほかの文献と違う国旗

 ここで「国旗」とは「National flag」の意味で使っています。



国名

問題点

授業書
『世界の国旗』

『絵とき世界の国旗』

World Flag Database 

Flags Of The World 

ボクのコメント

アフガニスタン回教国 変更   旧国旗 新国旗 新国旗 CIAサイトによると正式国名は「暫定アフガニスタン回教国」
アルゼンチン共和国 紋章比率

太陽入り 比率2:3

太陽がはいっていないのが「市民用船舶旗」。国外では太陽の入ったものを使う。比率1:2 法律改正により現在は太陽が入っているのが国旗。太陽が入っていない国旗の使用も違法ではない。比率は2:3と1:2のものがある。  
アルメニア共和国 配色   赤・青・黄色 赤・青・オレンジ。オレンジは肥沃な大地と農民を表す。 『絵とき・・』のは,ドイツの国旗の黄色と同じ色に見えます。印刷ミスか。
アンドラ公国 紋章

これが現在の政府が描く国旗。 紋章部分の変更。
エクアドル共和国 紋章 紋章なし 紋章あり 紋章なしが国旗。国外では紋章のあるものを採用。 法により紋章があるものが国旗として定められている。紋章なしの国旗も認められているらしい。 FOTWの根拠は,「エクアドル政府の公式サイトに掲載されていた」というものだが,現在そのサイトは「工事中」となっている。シドニー五輪では国章入りを使用。
エチオピア連邦民主共和国 変更 紋章なし 国旗変更で紋章あり 紋章なしの国旗もまだよく見られる。 紋章はエリトリアへの抗議の意味か? 授業書の流れでゆくなら,国旗を変えて欲しくなかった国。
エリトリア国 紋章   中心の葉が7枚 6葉で根の部分なども微妙に異なる。 ほかの文献でもFOTWの図柄。
カンボジア王国 配色 モノクロなので黒線 アンコールワットが黒線 アンコールワットは赤線 『全図鑑』では黒。紋章としては黒線で描くので,そこからの間違いか。
キプロス共和国 図柄   オリーブの葉に茎がない 茎がある。 茎がない。 『全図鑑』では茎なし。『FLAGS』では茎あり。「トルコ系住民とギリシャ系住民の共存」という趣旨からすると,茎がなくて葉がバラバラよりも茎があった方がよいと思う。
キルギスタン(共和国) 国名   キルギジア共和国 Kyrgyz Republic Republic of Kyrgyzstan
ロシアのニュースで「キルギスタンの第二公用語にロシア語を採用で国名がキルキジアに変更」と報道された。このため,キルギスタンのロシア語読みであるキルギジアが国名になったと誤解されたのではないか。
「2000.6からキルキジア共和国へ国名変更」と報道されたが,実態はFOTWにある通り,ロシアでの呼称の変化ということなのかもしれない。キルギス共和国は,ソ連邦時代の名称。「キルギスタン」は,国民がキルギス語でふつうに国のことを呼ぶ名前。
 2000.8.22の北海道新聞には「キルギス共和国」として記事があった。
 シドニー五輪では「キルギスタン」。
コスタリカ共和国 紋章 紋章なしが国旗 紋章入りの国旗 紋章なしのが国旗。紋章が入っているのは「State flag」。 『FLAGS』も国章入りのを掲載。シドニー五輪でも同じ。
サウジアラビア王国 剣のデザイン   『FLAGS』もFOTWと同じで,「このバージョンの剣は1981年に入れられた」との記述あり。
シドニー五輪ではWFDのデザインだった。
サモア独立国 国名 西サモア 国名変更「サモア独立国」 カントンに対する星の並び方がせまい。ほかの文献も同じ。 「一番下の星は,ほかの星よりも大きくなる。」とは気がつきませんでした。
サントメ・プリンシペ民主共和国           『全図鑑』の横縞がそれぞれ同じ幅の国旗は間違い。黄色は緑の1.5倍の幅。
ジブチ共和国 意匠   星が直立している。 『FLAGS』に「国旗としては星は傾いたものではなく直立したもの」と書かれている。
スペイン 紋章 紋章なし 紋章あり  紋章なしが国旗だが,国外では一般的に紋章のあるものが使われる。 紋章あり。法的に紋章の入っているのが国旗。 1981年の法律で定められたらしい。シドニー五輪でも国章入りを使用。
スリランカ民主社会主義共和国 意匠 4つの葉に葉脈が入っていた

葉脈なし

ミスの訂正
チュニジア共和国 意匠   三日月が小さい 『全図鑑』は『世界の国旗』と同じ。『FLAGS』はFOTWなどと同じ,W.スミスの本も同じ,シドニー五輪も同じ。
ドミニカ共和国 紋章 国章なしが国旗 国章入り 国章なしが国旗。国章の入ったものはstate flag。 『FLAGS』に解説あり。「政府用と民間用を区別するため1844年に政府用の旗に国章が入れられた。民間が国旗を使う場合は国章の入ったものを使ってはならない。」「国章入りの旗は,国旗と政府旗に限る」しかし,「民間旗」を国旗と考えれば,国章のないものが国旗である。W.スミスは国章なしのものを国旗としている。シドニー五輪では国章入りのを使用。
トルクメニスタン 変更   古い国旗 1997に紋章の一番下に「国の中立と平和を愛する国民の象徴」としてオリーブの葉を追加。 『FLAGS』でも新国旗となっている。シドニー五輪も同じ。
ニュージーランド 意匠   上下の星のラインは垂直にはならない。 ニュージーランド政府のホームページに詳しい情報がある。
バーレーン国         このサイトの国旗は間違っている。(ギサギザの数が違う)  
ハイチ共和国 紋章   国章入り 国章なしが国旗。国章のあるものはstate flag。『FLAGS』も同じ。 『FLAGS』に解説あり。「公式的,政府関係での使用には国章を入れて使う」。シドニー五輪では国章入りを使用。
パプアニューギニア 意匠   縦のラインがずれる。『全図鑑』も同じ。 横のラインがずれる。『FLAGS』も。 縦横ともずれる。 南十字星の方の並び方がそれぞれの文献によって異なる。
パラグアイ共和国 変更   国章が古いもの。『FLAGS』『全図鑑』も同じ。 国旗の紋章の変遷の詳しい図がある。1989以降現在の国旗に。 WFDとFOTWの紋章は微妙に違うが,現在の紋章はこのデザインのである。
ブルキナファソ 意匠 星が大きい   星が小さい。『FLAGS』も同じ。FOTWによれば「大きな星を描いた文献もあるが,それは信頼できない」とのこと。 汎アフリカ色の国旗であり,ほかのアフリカ諸国の国旗と比較して考えれば,星のサイズは小さいものが妥当であろう。
ベネズエラ・ボリバル共和国 国章 国章なし 国章あり 国章なしのが国旗。国章の入ったものはstate flag。『FLAGS』も同じ。 FOTWによると国名変更後,国旗の変更(星を8つに)も検討されたが否決されたとのこと。シドニー五輪では国章入りを使用。
ペルー共和国 国章   国章あり 国章なしが国旗。国章ありは政府が使う旗。『FLAGS』も同じ。 シドニー五輪では国章入りを使用。 
ボリビア共和国 国章   国章あり 国章なしが国旗。国章ありは政府が使う旗。『FLAGS』も同じ。『FLAG』によれば「国章の入った旗は古い国旗だが,今でも公式用途に使用される」とのこと。  
             

・シドニー五輪開会式を見て

 国旗として政府旗(官用陸上旗)が使われているのが多く,「政府の公式行事」といった感じです。でも,参加者は「政府を代表している」のではなく「国民の代表」でしょう。まあ「国旗が似ていては判別に困る」という事情もあるでしょうが,「世界はひとつ」がテーマなら,似た国旗も歓迎すべき事でしょう。このあたりのことをIOCにも勉強して欲しいです。
 シドニー五輪でスタンドの観客が振っていたスロバキアの国旗は中央に紋章があるものでした。これもちょっと調べてみたいと思いました。

 それにしても今まで全く関心のなかったオリンピックにこれだけ感動したのは初めてで,これも《世界の国旗》のおかげです。(2000.9.16)


インド国旗の意

 授業書では「インドの国旗のオレンジ色はヒンズー教徒,緑色はイスラム教徒を表し,中間の白は両者の平和を表す。」となっていて,とても感動しました。『絵とき・・』ではさらに「中央にあるのは仏教の〈法輪〉というものです」とあります。インド国旗にヒンズー教とイスラム教のシンボルが入っているのは理解できるのですが,中心に仏教のシンボルがあるというのが不思議です。インドには「仏教徒はほとんどいない」といっていいからです。さらにこのシンボルは,最初は「カンジーの糸車」だったはずで,宗教色はなかったはずです。それが「ダルマチャクラ」に変わった理由は,「仏教徒への配慮」とはどうも思えません。そこで調べてみることにしました。

・インド政府サイトより

国旗
 インド国旗は自由の象徴としてデザインされました。ネール元首相は,この旗を「我々自身だけの自由ではなく,すべての人々の自由の象徴だ」と呼びました。
 国旗はそれぞれの幅の等しい横三色で,サフラン色が一番上で白が真ん中,そして濃い緑色が一番下です。国旗の縦横比は2:3です。白の縞の中央に,「ダルマ・チャクラ」という鹿野園のライオン柱頭にある「法輪」を示すネイビー・ブルーの輪があります。その直径は白縞の幅とほぼ同じで,輪には24のスポークがあります。サフラン色は勇気,犠牲的行為と克己の精神を表し,白色は純潔と真実,緑色は誠実と豊かさを表しています。

http://www.meadev.gov.in/info/national/national.htm#emblemより


[解説]


鹿野園
 鹿野苑とも書く。サールナートの漢訳。サールナートとは,インド北部 Uttar Pradesh の Varanasi の北にある仏教の聖地で,ここで Buddha の最初の説教が行なわれた地とされる。

ダルマチャクラ
 法輪ともいい,仏教で釈迦の教え (=法) および仏を象徴する車輪。

・『世界旗章大図鑑』より

 公式な説明は政府サイトと同じだが,サフラン色と緑色の元々の意味はヒンズーとイスラムを表していることが書かれている。


・FOTWより

 この旗が最初に使われた頃は,「緑はイスラム教徒,サフランはヒンズー教徒」という簡単な説明でしたが,独立後の説明は違っています。でも最近は,また最初の意味合いに戻ってきています。アイルランド共和国の国旗との類似性は,偶然ではありません。Ed Haynes, 30 September 1998


 歴史的深さを加えるためとINCの旗と国旗を区別するために,アショカ・チャクラ(紀元前3世紀のマウリヤ朝アショカ王の「法輪」)がガンジーの糸車のかわりに国旗に入れられた。Ed Haynes, 10-APR-1996

[解説]

アショカ王

 初めてインドを統一し,仏教を広め古代インドの全盛期を築いた王。アショカ・チャクラは,王が仏教の聖典を集めたときに建てた記念碑の飾りとして刻まれていたもの。この記念碑のライオン像はインドの国章にもなった。

INC

 Indian National Congress
インド国民会議派 《1885 年結成》。インドの世論高揚を目的とする全国的な政治組織。マハトマ・ガンジーもその指導者の一人だった。

 INCはこの旗を1931年に採用,8月31日を「国旗の日」として祝う。

 ガンジーの糸車には,「イギリスに頼らず自分たちの力で日用品をまかない,独立へつなげる」という意味がある。

 現国旗のチャクラは,政治的意味合いの強いガンジーの糸車にかえて,「過去のインドの栄光のもとに統一」という願いをこめて「総合学習」(あからさまな反英ではない)していたネルーの採った政略だと思われます。また,当時のイスラム教徒との対立が国旗に反映されて「イスラムの緑色」となったのです。その後イスラム教徒達の3分の2が,パキスタンとして分離独立していきます。そこで現在のインド国旗の公式説明では,「緑色はイスラム」とはなっていないのでしょう。『スーパー・ニッポニカ』によると,現在全人口の75%がヒンズー教,12%がイスラム教,8%が指定部族(その多くがヒンズー教),そのほかキリスト教,シーク教(ヒンズーとイスラムの融合),ジャイナ教,仏教。

 インドの国旗については『世界の国旗事典』が漫画でとてもわかりやすく書かれています。

(2000.11.4)

イスラム教徒の割合への疑問 「赤十字と赤新月」(20〜21ぺ)

 このページは,この本でボクが一番気に入っているページです。すばらしい構成で「赤新月」のことが感動的につたわってきます。

 いまイスラム教について調べているのですが,「国ごとのイスラム教信者の割合」を調べていくと,このページの図と違っているのがあって気になってきました。ボクの文献は『世界の国旗全図鑑』,WFDサイト,外務省サイト,「せかいの国」(CDROM),『スーパー・ニッポニカ』で,文献により数値が異なったときは,外務省サイトのを使用しました。

 
  イスラム教徒
の割合(%)
『絵とき』での
分類(*)

コメント

アルバニア共和国

65

不明

旗に隠れて見えない
インドネシア共和国

87

90〜

 
エチオピア

35

50〜90

 
オマーン国

86

90〜

 
カザフスタン共和国

47

50〜90

 
ガンビア共和国

80

90〜

 
ギニア共和国

75

90〜

 
クウェート国

75

90〜

 
コートジボアール共和国

30

50〜90

 
シリア・アラブ共和国

85

90〜

 
ナイジェリア連邦共和国

45

50〜90

 
バングラデシュ人民共和国

88

90〜

 
ブルキナファソ

30

50〜90

 
マリ共和国

80

90

 
マレーシア

53

90

 
*『絵とき』では,次のように分類して色分け。
 ・90%以上
 ・50〜90%

 マレーシアがかなり違う以外は,あとはあまり変わりませんが,平野さんがどのデータを元にしたのかが気になります。(2000.11.16) 

◆仮説ネット 丸山 秀一◆