radio atom

■放射性原子と放射能

ご注意: 札幌たのしい授業・研究サークルにて,実験を交えてレポート発表しますので,サークルに参加される方は,ここで読まない方が,たのしめると思います。


更新

2008.7.18 トリチウム・キーホルダー販売業者逮捕
2007.8.5 ブラウン管の放射能の原因。「放射能探検隊
2006.12.15 偽りの「天然湯の花」 放射性原子グッズ
2006.1.18 ラジウム入手苦労。ウラン鉱石。放射性原子グッズ
2005.12.5 アメリシウム,プロメチウム入手。放射性原子グッズ
2005.11.14 放射線測定器」 「測定器あれこれ」「測定の基礎」,「はかるくん」更新
2005.11.13 放射能探検隊」トリチウムキーホルダーの放射線量。
2005.11.9 放射線測定器」感度について。「放射能探検隊」天候との関係。
2005.11.4 対核戦争用グッズ
2005.11.3 放射線測定器」ガンマスカウト購入。「放射能探検隊」更新。
2005.11.1 放射能探検隊」食品と建物の放射線
2005.10.29 放射能探検隊」様々な放射線を測定します。
2005.10.27 ページ作成。「放射線測定器」,レポート「放射性原子」,放射性原子グッズ


放射性原子グッズ トリチウム ウランガラス レポート「放射性原子」

放射線測定器

放射能探検隊

対核戦争用グッズ



放射性原子グッズとレポート

 授業書には,放射性原子のことは出できませんが,放射性原子はたくさんあります。「原子(単体)の標本」を作るときなど,放射性原子のイメージをしたいときは,次の二種類の放射性原子のグッズが入手可能です。

・トリチウムのキーホルダー 単体 気体  ガラス管に封入

 外国製のものもあります。2000円から3000円。トリチウムは,半減期12.3年です。β線を出すβ崩壊をしています。

 ここから出る放射線はかなり強いのですが,下記のようなことに・・・








・ウラン 化合物 イオン ガラス化


 ウランガラスは,ビー玉状のものが安いです。100円〜。

 ウランはイオンの形で入っています。ウランは半減期45億年で放射線を出して崩壊しています。もともとは,α崩壊ですが,崩壊の過程でβ崩壊もします。http://www.irm.or.jp/hakarukun/index.htmlウランガラスには「劣化ウラン」が使われています。詳しいことは,下記のレポートでどうぞ。



 これらの放射能グッズを元に,放射性原子をイメージするためのレポートも書いてみました。


 「放射性原子」 Radioatom.PDF 390KB


・ウラン ピッチブレンド

 鉱物の店「やまもと」で扱っているシンチレーターは,ウラン鉱石が出すアルファ線が蛍光物質で発行している様子を見るためのモノです。これには,米粒大のウラン鉱石が4つついていますが,その放射能はかなり強力で,ここで紹介したモノの中では最強です。説明書には「枕元に置いて寝て・・・」とありますが,それはおすすめしません。ウラン鉱石を精製すると核燃料となり,原爆にも使われます。

 シンチレーターについては,湯沢光男さんがよい紹介レポートを作成されています。

 2006.1.18




・アメリシウム

 アメリシウムも放射性原子です。これは,煙感知器に使われています。アメリシウムの放射能により,煙がイオン化され,それで煙を感知できるというわけです。でも,市販品の煙感知器は,光電式という放射性原子を使わないものばかりです。業務用としては,製造されているはずなのですが,入手できませんでした。これは,「アメリシウムの煙感知器が敏感」ということと,「日本では放射能に敏感」ということが理由でしょうか。日本のように,喫煙者の多い国では,アメリシウムの煙感知器はタバコの煙でも反応してしまうわけです。

 ということで,入手できたのは,すべて米国製品です。値段は1000〜2000円程度。日本で一般的な光電式よりもかなり安いです。

http://www.firstalert.com/ 日本語版のサイトも近々できるようです。

 検知器の中には,放射線源マークがあり,アメリシウムが密閉されていました。煙感知器には,密封線源と非密封線源のふたつを使っているはずですが,よくわかりません。放射線レベルは,β線でバックグラウンド放射の3倍程度。

 アメリシウムは,α崩壊して,ネプツニウム237となります。ウランと同様のα崩壊なので,内部被曝には,厳重な注意が必要です。ネプツニウム237は,半減期214万年でβ崩壊して,猛毒のプルトニウムになります。もちろん,プルトニウムも放射性原子なので,崩壊はまだまだ続いてゆきます。ですから,廃棄には,十分な注意が必要です。原理的には,アメリシウムをたくさん買い占めて,数百万年待てば,プルトニウムとなって,原爆を作れる?!

 この放射線源の良いところは,日常は「煙感知器」として安全のために動作して,放射線実験の時には,取り外して実験に使えるというところです。入手も簡単ですし,実験用放射線源としては,これはいいです。

 使われているのは,アメリシウム241 半減期458年,最大37kBq(アメリシウムはα線を出すため,法令により,放射線源の適用を受けない放射能の強さは,非密封線源で37kBq)



  2005.12.5


・プロメチウム

 グローランプなどの放電管には,β線の電離作用で放電を確実にするため,プロメチウム147がごく微量塗布されています。プロメチウムは,β崩壊してサマリウムに変わります。半減期は,2.6年なので,古くなったグローランプが点灯しづらくなるのもわかります。

 放射線量は,ごく微量です。ベータちゃんでなんとか計測されるぐらいです。 2005.12.5


・ラジウム

 ラジウム温泉が有名ですので,「湯の花」=源泉の沈殿物 を集めれば簡単と思っていたのですが・・・。

 北湯沢温泉で買った湯の花(写真)からは,まったく放射線が検出されませんでした。パッケージには,製造元の表記がありません。いったいどこの湯の花なのか。これがネットで調べてみると,同じパッケージのものがあちこちで売られています。どうも中身も同じモノのようで,それは「中部山岳国立公園北アルプス山麓に点在する奥飛騨温泉の天然湯の花」とのことです。そこはラジウム温泉ではありませんので,放射線は検出されないわけです。

 では,ラジウム温泉の湯の花をさがさねばなりません。

 そこで北海道二股温泉がラジウム温泉として有名なのを発見。「5.47マッへというラジウムが含まれていて微弱な放射線を放出することから注目を集めています」とのことで,これは期待大。早速「二股温泉ラジウム鉱石」なるもの1kg8000円を注文しました。届いたのは軽石のようなもの。(右写真)しかし,これからも全く放射線は検出されません。5.47マッヘはいったい・・・。

 もし二股温泉の鉱石が,本当に放射能があるのであれば,届いたモノは全くのインチキ製品ということになります。

 今度は,玉川温泉の湯の花を注文。玉川温泉には特別天然記念物の北投石までありますから,こんどこそは・・・。秋田県玉川温泉の北投石とは,岩石の表面に長い年月がかかって温泉の成分か結晶化したもので,ラジウムなども不純物として含んでいます。天然記念物のため採取禁止です。

 さて届いたモノからは,微量放射線が検出されました。

 2006.1.18









・偽りの「湯の花」

 「天然 湯の花」として草津温泉で売られていたものが,実は石油加工品だったことが判明し,公取委が排除命令を出しました。命令を受けたのは,草津温泉で入浴剤を販売する「湯本物産」「ホテル一井」「笹乃屋」「さつき物産」の4社。公正取引委員会によると,4社は,パッケージなどに原材料として草津温泉で採集された湯の花を用いているかのように表示していた。しかし,実際には,原油から作られた硫黄や,硫黄に炭酸カルシウムを混ぜたものを使用していたとのこと。(画像はNNNニュースより)

 ・・・となると,草津以外にも市販されている湯の花の成分は非常に怪しい・・・。2006.12.15

関連ニュース http://www.asahi.com/life/update/1214/010.html











放射線測定器

 放射線は,五感で感じることはできないので,定性的な測定にも,測定器が必要です。しかし,市販の測定器は,安いものでも3万円ぐらいもします。しかも,安価なものは,ガンマ線のみの測定です。しかし,国の原子力政策のおかげで,無償で借りることが可能です。


◎ガンマくん・ベータちゃん

 すごいネーミングですが,関西原子力懇談会が行っているレンタルサービスです。測定機器だけでなく,試料も一緒に送ってくれます。「ガンマくん」はγ線のみ測定。「ベータちゃん」は,β線を測定できるようです。

 このサービスでは,複数台の測定器を最長一ヶ月の間,借りることができます。返送料も含めて,料金等は一切かかりません。しかも,誰でも,サイトから簡単に申し込むことができます。ビデオなどの貸し出しもしています。

 測定器などが届きましたら,その状況などを追記します。


 関西原子力懇談会         ここは一ヶ月間
 http://www.kangenkon.org/

中国地域エネルギーフォーラム  こちらは二週間ですが,霧箱などいろんなものも貸してもらえます。
 http://cef.jp/


北海道電力 営業所などで 「ベータちゃん」を貸してくれるようです。







・届いた「ベータちゃん」

 届いたのは,写真のセットです。ちなみに,この「試料付きベータちゃん」は,市販価格15万円です。「ガンマくん」も,おそらく相当高いものなのでしょう。

 つまり,総額20万円以上のものを,無償で一ヶ月間借りられるわけです。

 早速色々なものを測ってみて,さらに疑問だらけになりました。

 「ベータちゃん」は,極めて微量の放射線を測定するように作られています。そこで,メーターを振り切ることも多いです。

 また「ベータちゃん」は,ベータ波とガンマ波を一緒に測定するので,なんとか「ベータ波だけをわけてみたい」と思って,アルミ板で遮蔽することを考えています。1円玉でも良いのですが,「ベータちゃん」の検知部は直径5センチほどもあるので,大きなアルミ板で覆わなければ無理です。厚さは3ミリぐらい必要でしょう。

 実際の測定結果については,【放射能探検隊】で。

 2005.10.29











◎はかるくん

 これもかわいいネーミングです。こちらは,放射線計測協会が行っている測定器と実験セットのレンタルサービスです。測定器の「はかるくん」には,DX200(ふつうのもの),メモリー付き,「はかるくん2」(β波測定機能付き)の三種類があり,すべてに「文科省」というシールが貼られているようです。アルファー波やβ波を計測する場合には,計測部を露出させねばならないため,ちょっとしたことで壊れやすくなります。そのため,ここでは「はかるくん2」は,「学校関係者のみに貸し出し」となっています。また「希望が多くて,なかなか貸し出せない」とのことでした。

 「実習用キット」は,ビデオや解説書に実験器具がついており,放射線の基本的な性質を実験できるようになっています。「実習用キット」には,放射性物質としてセシウムが付属しているため,これも「学校関係者のみの貸し出し」です。

 貸し出しを申し込むには,サイトから申請書をダウンロードして,記入してFAXします。すると,すぐに確認の電話が入ります。「実習用キット」を借りる際には,署名捺印した申請書を郵送で送る必要があります。レンタル期間は,最長二週間です。こちらも,一切が無償です。

 実習用キットなどが届きましたら,また追記します。


 放射線計測協会
 http://www.irm.or.jp/

「はかるくん」が届きました。これは市価13万円のガンマ線測定器です。シンチレーション式なので高いです。ただ,ここでは「はかるくん」を何台も貸してくれます。この「はかるくん」は充電式なので,電池を気にせずに測定できるのもいいです。

 驚いたのは「実習用キット」です。カギがかかるアルミ製のトランクに入っています。見るからに怪しいので,トランクの外側から,測定器を当ててみると,ものかごい量の放射線が計測されました。さすがに放射性原子の単体です。セシウムは鉛容器に入っていて,さらに金属板で遮蔽されているにもかかわらず,この数値です。ちょっと怖いため,まだ中身は見ていません。 2005.11.14




◎レンタル測定器の問題点

 それはなんといっても,アルファ波を検出できないことです。α波を測定できるものが,やはり欲しくなりますね。

 「アルファちゃん」というのがあるようなのですが,現在は貸し出ししていないようです。販売は26万円。

◎ガンマスカウト

 ドイツ製の測定器です。簡単な切り替えで,アルファ,ベータ,ガンマ波を測定できます。だいたい5万円前後で売っています。コストパフォーマンスは大変良いです。ボクは,『たのしい授業』によく広告の出ている「鉱物のやまもと」より購入しました。5.2万円。

 詳細はサイトで,日本語のページもあります。

 http://www.gamma-scout.com/


 ガンマスカウトの特徴は「スイッチがない」ということです。つまり,つねに放射線を計測しています。だからバックグラウンド放射の値を常に確認できますし,ふつうの測定器のようにバックグラウンド放射を計測して指示値が安定するのを待つ必要もありません。。また,強い放射線を感知したときに,警告音を鳴らすこともできます。原爆実験や原発事故があると,わかるわけですね。サバイバルツールにもなりそうです。電池寿命は10年で,電池交換は,メーカー修理となります。ガンマスカウトには,パソコンと接続する機能もあります。

 使ってみて思ったのが,液晶の悪さです。斜めから見ると,指示値がまるでわかりません(液晶の0が8に見えたり,1が7に見えたりする)。ただ数字の他に,対数グラフで示してくれるのは,おもしろいです。本体が軽くて持ちやすいです。ストラップをつけてほしいなぁ。でも,検知部が直径1センチほどしかないため,反応が鈍く,微弱な放射線を測るときは,いらいらします。「ベータちゃん」の検知部は直径5センチほどもありますから,その差は歴然としています。まあ「ベータちゃん」は15万円もしますので当然か・・・。でも,とにかく感度の良い「ベータちゃん」も欲しくなってきました。うーん,15万円・・・。 2005.11.3


◎測定器あれこれ

 Inspector +

 日本では12万円以上で売られているものですが,直輸入すれば500ドルぐらいで買えます。プラスがつかないただのInspectorは,旧モデルです。この機種は,「ベータちゃん」のように大きい検知部でアルファ線やβ線を検知することができます。ただGM管式ですから,精度はガンマスカウトと同じです。写真では,ひと桁精度が高いように見えますが,これは単位がmR/hになっているからで,Svのときは,ガンマスカウトと同じになります,

 http://www.geigercounters.com/Inspector.htm

 森村卓さんのサイトには,この測定器を使って,イラクで劣化ウラン弾が使われた戦車などの測定をしている写真があります。

 http://www.morizumi-pj.com/iraq/iraq5/03/iraq5-03.html


 値段はガンマスカウトと同等ですが,ガンマスカウトがα,α+β+γ,β+γモードに切り替えられるのが,大変便利ですので,ガンマスカウトの勝ちか?! 理想は,ガンマスカウトとベータちゃんとアルファちゃんとはかるくんの4種類があれば完璧です。お値段合計は,5+15+26+13で55万円なーり。サバイバルツール?としては,文句なしガンマスカウトをオススメします。




◎感度について

 ガンマスカウトは,GM管式検出器です。GMのGは,ガイガーカウンターのGです。GM管は多量の放射線を計測できませんので,ガンマスカウトの測定範囲は,0.01〜80μSv/hとなっています。シンチレーション式の「はかるくん」は0.001μSv/hから測定できますので,ひと桁精度が高いわけです。

 「ベータちゃん」もGM管式です。もともとGM管は,たんに「入射した放射線の数を計測しているだけ」です。だから,まさしく「ベータちゃん」は,「1分間に何回放射線を探知したか」(=CPM,カウント毎分)という値しか示しません。「ガイガーカウンター」とは,このように「放射線の検知回数」を表示するだけのものです。

 それでは,なぜ「ガンマスカウト」は,放射線当量率を表示するのでしょうか。それは,装置内部の演算によって,計算しているからです。しかし,その元になっているのは,コバルト60の放射線パルスと放射線当量率の関係ですので,厳密に言うと,コバルト60以外から出る放射線に対しては,その計算は成立しないのです。ですから,こういった計測器は「絶対値」というよりも「相対的な値」を示しているに過ぎないものです。

 この原理は,シンチレーション式の「ガンマくん」なども同じで,「ガンマくん」も測定したパルスの値を,「標準放射性物体」の特性から演算して当量率を出しているわけです。「ガンマくん」は,0.15MeV〜1.5MeVのガンマ線を計測します。ガンマ線のエネルギーが高くなると,こういった測定器も素通りしてしまうので,計測できなくなるわけです。

 「ガンマスカウト」では,0.02MeV以上のガンマ線,0.2MeV以上のβ線,4MeV以上のα線を検出できます。ウランの出すα線は4.2MeVぐらいのエネルギーをもっていますから,ガンマスカウトでの測定はギリギリ可能なところです。トリチウムが出すβ線のエネルギーは,わずか0.018MeVですから,ガンマスカウトでは計測できません。つまり放射線計測器では,放射線の一部だけを計測しているわけです。2005.11.9
 ところがトリチウム管からは多量のβ線が検出できました。以下で。

 



◎放射線測定の基礎

 


 上記において「測定器は相対的な値を示しているだけ」と書きましたが,手持ちの6台のガンマ線測定器を,同時に作動すると,どれぐらい測定値の違いが出るでしょうか。

 6台を放置して,バックグラウンド放射を10分間計測させました。黄色のガンマスカウトはGM管式で精度が悪いため,かなり高い値を出していますが,そのほかのものはシンチレーション方式の測定器のため,ほぼ同じような値を出しています。でも同じ測定器でも,測定値にばらつきがあるのが分かります。最小値と最大値では,ほぼ2倍の開きがあるのです。

 このように,放射線測定では,ほかの測定器によって測った値と比較することは,あまり意味のないことになります。









 別の場所で,横一列に並べてみても,これだけの差があります。











 屋外で計測すると,ふつうは計測値が屋内よりも下がります。




 屋内で左のような値のものを,10分間以上,屋外に出してみました。




 なぜか「はかるくん」だけは,計測値が上昇しています。







 次の瞬間の写真です。


 このように瞬間的に数値が変動しますので,ある瞬間の数値をもって,放射線の値とすることはできません。もっとも,測定器はおよそ10分間の平均値を表示しているわけですが,それでも変動が大きいわけです。


 変動の理由は,放射線は放射線源から,ランダムに放射されているからです。そこで放射線の出現頻度と放射線量率をグラフにすると,正規分布します。だから精確に測定するなら,何回も測定した値の平均値を求めなければならないわけです。

 以下「放射能探検隊」では,測定した放射線量率を記していますが,それは,「何回も測定して平均値をもとめたもの」ではありません。だから,数値は目安にしか過ぎません。 2005.11.14





放射能探検隊 放射線を測ってみよう


◎バックグラウンド放射

 だいたい自宅での自然放射(バックグラウンド放射)は,「ガンマくん」によるγ線測定で,0.02μSV/h(1時間あたり換算で0.02マイクロ・シーベルト)です。この値との差が,測るものが出している放射線の強さと言うことになります。「ベータちゃん」の測定では「カウント毎分」という,相対的な値だけです。バックグラウンドは,だいたい40CPMです。

 ところが,ガンマスカウトでは,ガンマ線のバックグラウンドの値は,0.11μSv/hとなり,「ガンマくん」の5倍の値となります。これは,検知の構造が違うこと(ガンマ君はシンチレーション式でガンマスカウトはGM管)と,感度の違いによるものと思われます。日本人が1年間に自然から受ける放射線量は1.1mSv/yとのことですから,1時間あたりで計算すると,0.12μSv/hとなり,ガンマスカウトの値の方が近いのがわかります。ガンマスカウトには,ドイツの公的機関による「誤差5%以内」という証明書がついています。 2005.11.3

 「はかるくん」によると,バックグラウンドの値は0.02μSv/hです。「はかるくん」もシンチレーション式でGM管式よりも精度が高いことを考えますと,バックグラウンドの値は,こちらでいいようです。ガンマスカウトは,0.05μSv/hが最小値なのに対して,「はかるくん」は0.001μSv/hからとなっていて,高精度なのが分かります。ガンマスカウトは,「はかるくん」などと比較して,高め(10倍)のバックグラウンドを表示するようです。バックグラウンド以下の放射線量を測ることはできませんから,シンチレーション式は高精度ということになります。 2005.11.14






◎トリチウム・キーホルダー

 トリチウムは,β線のみを出す放射性物質です。ガンマ線は検出されませんでした。

 「ベータちゃん」では,メータを振り切るほどのβ線が検出されました。資源エネルギー庁のサイトによると,「トリチウムの放射線はラップも通過できない」とあります(http://www.atomnavi.jp/uketsuke/qa02_23_030246.html)が事実ではないようです。この二重でガラスに覆われているトリチウムの放射線が検出できるのですから。

 ガンマスカウトによる計測でも,ガンマ線は計測できず,β線がバックグラウンドを除いて0.6μSv/h計測できました。これは,ボクがこれまで測ったものの中で最大の数値です。さすがに放射性原子の単体だけあります。かなりの量の放射線です。 2005.11.13

「光るストラップ」は放射性物質 容疑の販売業者を逮捕

2008年7月17日12時38分

 規制量を超える放射性物質トリチウムを使った携帯ストラップを無届けで販売したとして、警視庁は17日、広島市佐伯区吉見園の無職下嵜一郎(40)、会社員藤井協子(45)の両容疑者を放射線障害防止法違反容疑で逮捕した。

 両容疑者は「K―BROS(ケイブロス)」というホームページなどを通じてストラップを売り、「10年以上光り続ける」と人気を集めていた。04年10月から全国約2600人に約5500個を販売し、約1690万円を売り上げたという。警視庁によると、トリチウムを使った商品の販売業者が同法違反容疑で逮捕されるのは全国初。

 生活環境課と調布署の調べでは、両容疑者は英国からトリチウムが入ったガラス管を輸入して加工。今年2月、千葉県の男性ら2人に、文部科学相告示で定める規制値の約26倍の量のトリチウムを使ったストラップを5千円と6500円で販売するなどした疑い。人体への重大な影響はないとみられるという。


◎ウランガラス

 ウランガラスのビー玉50個の測定結果。

 「ベータちゃん」では,メーターが振り切れます(300CPM)。かなりの量のベータ線を出しています。ところが「ガンマ君」では,まったくガンマ線が計測されません。ウラン238は,α崩壊ですから,α線も多量に出していると思われます。崩壊してできたトリウムは,ベータ崩壊するので,トリウムなどがベータ線を出しているのでしょう。やはり,定量的に計測するには,別の測定器が必要のようです。 2005.10.29

 ガンマスカウトで計測してみました。やはりガンマ線は計測できません。α線も期待したのですが,計測できませんでした。ウランはガラスに封じ込められているので,α線はガラスに吸収されているものと考えられます。ベータ線は0.3μSv/h(バックグラウンドを除く)というところで,バックグラウンドの3倍,テレビ画面の10倍ちかくです。年間0.3mSv/yということになり(計算はかなりてきとー),自然などからに浴びる放射線量の8%程度となりますから,もし,この50個のウランガラスを肌身離さずに持っていたとするなら,けっこうな線量です。しかし,50センチほど離すと,ほぼ計測できなくなりますので,そんなに気にする必要はないでしょう。放射線の強さは,距離の二乗に反比例します。 2005.11.3


・遮蔽実験

 ウランガラスをアルミホイルで覆ってみても,放射線の値は全く変わりません。多くの文献で「β線は薄いアルミ板で遮蔽される」と書いていますが,アルミの場合,β線を遮蔽するには3ミリ以上の厚さが必要です。おそらく「1メートルとかの厚さは必要ない」という意味で「薄い」と書いているのでしょう。

 ふつうの茶筒(ブリキ)に入れてみると,β線の値が半分以下になりました。さらに,その茶筒をスチール机の引き出しに入れたところ,外部からは計測できなくなりました。 2005.11.3



◎テレビ

 子どもの頃「テレビからは放射線が出ているから,近くで見ると危険だ」とよく言われていましたが・・・。いろんな本には「ブラウン管は放射線を出している」とあります。本当でしょうか。「ガンマくん」で,バックグラウンドの2倍のガンマ線が検出されました。検出値から,バックグランド放射の値を引くと,0.04μSv/hです。「ベータちゃん」でも同様の結果となりますが,「ベータ線を検出しているのかどうか」は,これだけでは不明です。

 パソコンのCRT式ディスプレーからも放射線を検出しますが,テレビよりは弱いです。液晶ディスプレーからは,全く検出できません。ということは,「ブラウン管が放射線を出している」と考えられます。本によると,「電子ビームが蛍光体に当たるときにX線がわずかながら発生する」とのことですが,検出しているのは,そのX線ではありません。なぜなら,電源を切っても,コンセントを抜いても,検出する放射線の強さは全く変化がないからです。

 「電子銃に放射性物質が使われている」とする文献もありましたが,これも実験結果からは否定されます。ブラウン管の放射線は,電子銃の付近ではなく,その表面でのみ検出されるからです。

 となると考えられるのは,「蛍光体が放射線を出している」ということです。蛍光体に放射性物質が使われているのか,不純物として混入しているのか・・・,うーんさらに謎は深まります。

 「ブラウン管が放射線を出している」のですが,その量は,私の計測によると0.04μSv/hで,0.03ミリシーベルト/年ですから,毎日24時間ブラウン管に顔をつけていたとしても,あびる放射線の量は,日本人が年間に自然や医療機器から浴びる放射線量4ミリシーベルト/年の0.8%でしかありません。それが危険かどうかは,まだ判断できませんが。 2005.10.29


・テレビメーカーの回答

 ソニーのテレビを使っているので,ソニーに「放射線が出る理由」を問い合わせたところ,「テレビのブラウン管からは,弱い放射線や磁力線が出ています。しかし,テレビから出る放射線はきわめて弱く,自然界に存在する放射線と変わりはありませんので,安心してご使用ください」との返事が来ました。うーん,答えになっていないぞー。 2005.11.1


・β線を遮蔽すると

 「ベータちゃん」に3ミリ厚のアルミ板を取り付けて,β線を遮蔽して計測しても,全く同じ値が計測されます。つまり,出ている放射線はβ線ではなく,γ線だということです。ガンマ線よりもエネルギーの弱いX線が出ている可能性も大です。 2005.11.1


・ガンマスカウトによる計測

 ガンマスカウトによると,明らかにβ線も検出できました。β線は0.05μSv/hぐらい,同様にガンマ線も0.05μSv/h。α線は検出されませんでした。β線が検出できたとなると,やはり放射性物質による放射線の可能性が濃厚です。2005.11.3

・解決

 放射線を調べていて発見しました。ブラウン管の放射能の原因はガラスに添加されているルビジウムでした。「炭酸ルビジウム(Rb2CO3)を混ぜたガラスは丈夫で電気絶縁性に優れているため,ブラウン管用ガラスとして用いられる」(Wikipedia)のだそうです。

 2007.8.5




◎食品

・昆布

 「ベータちゃん」付属の試料には,乾燥昆布がついています。これからは,バックグラウンドの3倍の放射線を検知できます。なぜかというと,昆布にはカリウムがたくさん含まれているからです。『五訂食品成分表2001』(女子栄養大学出版部)によると,100グラムの昆布には,およそ5グラム程度のカリウムが含まれています。天然に存在するカリウムには,カリウム40という放射性同位体があります。カリウム40は,0.01%の存在比です。つまり,100グラムの昆布には,0.0005グラムの放射性カリウムが含まれているわけです。カリウム40の半減期は12.8億年で,ベータ波とγ波を出して崩壊しています。

 『食品成分表』によると,カリウムの含有量は昆布の産地や種類によって違います。

 ・羅臼昆布 7300mg/100g

 ・真昆布 6300mg

 ・利尻昆布 5300mg

 ・日高昆布 3200mg


・わかめ

 日高昆布でもはっきりとした放射線を検知できました。昆布が放射線を出しているのなら,わかめだって可能性があります。「塩蔵わかめ」を計測してみると,まったく反応ありません。『食品成分表』を見てみると,100グラムあたり12mgしかありません。これでは反応が出ないはずです。またβ線もガンマ線も水分によって吸収されるので,乾燥したものの方が,はっきりと測定できます。『食品成分表』によると,「乾燥わかめ」には5200mgのカリウムが含まれているそうなので,それを使うと間違いなく検出できるでしょう。

 乾燥わかめなどを入れた「乾燥みそ汁の具」からは,検出できました。


・海苔

 では,海苔でもいけそうです。ふつうの海苔を30枚ぐらい重ねて測定してみると,はっきりと計測できました。『食品成分表』では,「ほしのり」は,3100mgのカリウムを含んでいます。


・ほうれん草

 生では690mgのカリウムで,反応がありそうですが,計測できませんでした。やはり水分のせいか?それとも1000mgを越えないと計測できないのかも。

・じゃがいも

 410mgですが,計測できず。

・バナナほか

 360mgで,これも反応なし。

・コーヒー豆 ミルクココア クリープ

 反応があります。ミルクココアは730mgでかすかな反応。

・黒砂糖,唐辛子

 黒砂糖1100mg, 唐辛子2700mg 計測でき。



台所のものを手当たり次第にやってみましたが,反応があるものはありませんでした。

・反応が期待できる食品

 1000mg以上のものをざっとひろってみると,小麦はいが,こんにゃく粉,あずき,ささげ,大豆,きなこ などの乾燥豆,かんぴょう,干しズイキ,切り干し大根,パセリ,ドライフルーツ,きくらげ,しいたけなどの乾燥キノコ,いわのり,ひじき,いわしの煮干し,さば節,干しだら,干しさくらえび,するめ,脱脂粉乳,チーズパウダー,ポテトチップス,インスタントコーヒー,ピュアココア,玉露,抹茶,煎茶,紅茶,オールスパイス,カレー粉,黒コショウ,さんしょう粉,チリパウダー,パブリカ,粉わさび,ベーキングパウダー

 このなかでも10000mgでカリウムを一番たくさん含むのが「干しずいき」です。

 本当はスーパーで直接計測できたら,たのしいのですが,そうもいかないので,買ってこよっと。 2005.11.1



◎建物

・学校

 自宅でのバックグラウンド放射は,0.02μSv/hぐらいですが,学校ではその3倍の値となります。これは,学校がコンクリートでできているからです。コンクリートは,砕石や砂などをたくさん含んでいるため,たくさんの自然放射線を出しているというわけです。


・家の玄関

 玄関にはタイルが敷き詰められています。そこからは放射線が検知されます。

・コンクリート

 コンクリートのブロックや土管からも,放射線が検知されます。アスファルトでは,検知されませんでした。

・レンガ

 家の周りにあるものでは,レンガが一番強い放射線を出していました。 2005.11.1


◎天候との関係

 ガンマスカウトにはスイッチがないので,いつも放射線を計測しています。24時間毎の平均値を出してくれるのですが,現在のところ0.10か0.11μSv/hのどちらかです。

 いつも机の上に置いてあるので,あることに気がつきました。それは,「放射線の値が天気と関係があるらしい」ということです。雨が降ると,決まって値が高くなるのです。結構な雨だと,0.18μSv/hぐらいになります。雨水の中に,放射性物質が入っている可能性があります。2005.11.9



対核戦争用グッズ

 9.11テロが米国であったとき,米国から「家族分の防毒マスクを備えましょう」なんて迷惑メールが米国からたくさん来ました。まさしく「恐怖政治」かも・・。先日は札幌の地下鉄でも「テロに備えて」という自衛隊も参加した大規模訓練をしていましたが,その目的のひとつは「テロに対して危機感を市民に持ってもらう」となっていました。でも「なんで地下鉄がテロ攻撃を受けなければならないの?我々は,誰に,なぜ,そんなに憎まれているの?」「テロ攻撃を受けないようにすればよいのではないの」とは,あまり考えないようですね。


 米国には,いまも核攻撃や原子力発電所の事故に備えた「核防護グッズ」の通販サイトがあります。

http://www.ki4u.com/products1.htm

一部のものは,日本語のサイトでも購入可能です。売っているものは・・・

・放射線検出警報機 160ドル

 キーホルダータイプで常に身につけておけるものです。1mSv/h以上の放射線を検知すると警告音が出ます。この機器には「その場所にあと何時間とどまっていられるか」の表もついています。 2万円 http://www.nukalert.jp/ 

 日本のサイトでも購入可能です。これはとにかく小さいので便利です。でも,1mSv/hというのは,かなり大きい値ですので,あまり使い途はなさそうですが・・・。でも,これも欲しいなぁ・・・。

 この機器を解説しているサイトはこちら。

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Oakland/2212/



・ヨウ化カリウム錠剤

 これを飲んでおけば,放射性ヨウ素の体内蓄積を防止できる・・・・・かも。 24ドル


・放射線測定器 290ドル

・死の灰メーター  75ドル

・『核戦争サバイバルマニュアル』 28ドル

・『シェルターによる放射線防護』 18ドル

・『民間防衛活動 CD-ROM』 40ドル

・「放射線防護セット」 上記のものなどのセット  615ドル

・『市民防衛活動 DVD』 149ドル

・「死の灰シェルター」 3200ドル 庭にうめるのでしょうか?

・非常食パック

 などなど        2005.11.4